第3回北九州市難病対策地域協議会を傍聴して

324日(金)1830より行われました、北九州市難病対策地域協議会を傍聴してまいりましたので、永松が報告と感想を述べさせていただきます。

 

 

 

傍聴は意見をすることは当然ながら出来ず、前回にも増してフラストレーションMAXで帰って参りました。

3回目のテーマは「難病患者の就労支援」

難病の課題のトップとも言うべきテーマに、各構成員からどのような意見が出るのか、就労に関する最大の要因を解決する糸口が見つかるだろうかとドキドキしながら1時間半の協議会に耳を傾けました。

 

北九州市は全国屈指の工業地帯であり、多くの企業が存在する街。

この地域協議会が市一本で行われている事は重要で、私が住む郡部の田舎では出来ない就労対策が可能ではないかと思います。

 

協議会の最初に、北九州市に支店を置く企業(人材派遣業的な企業)の、難病患者の就労の体験を雇った側として語られました。

ヒアリングにより患者の留意点などを把握。考えられる周囲のフォローと実際の業務に入ってから見えた課題点等、大変興味深く聞きました。

 

次に、市の障がい者就労サポートに現場より、難病患者の相談の実態が。平成28年は201件の相談件数のうち難病患者は4件とのことで、サポート以前の課題が明確になりました。

 

その後、難病当事者より発症から退職に至る状況や心理、現在の自身の就労の課題点などの体験を語られ、難病患者が共有出来る点が多々ありました。

その他の当事者(患者・家族)からは、難病患者のスキルアップについてや、自身の病気をしっかり語ることが大事などの意見が上がり、患者の生の声を伝える大事な場になったと感じます。

 

さて、難病患者や障がい者に関わらず、就労は大変シンプルなものです。

「雇用したい」と言う需要に「働きたい」と言う供給の二種類しかありません。

その雇用したい対象は、『健康でスキルが高く人柄もいい』という、利益を求める企業側からすれば当然の要求と言えます。

今の難病患者の就労は、今日の協議会でも多くの意見がありましたが「障がい者枠」での就労か一般就労での勝負か、ではないかと思います。

 

障がい者枠であれば、企業側もそのつもりですので「あ、難病なんですね」から始まって、先に出ましたヒアリングや必要なフォロー(配慮)の話となります。

しかし残念ながら多くの難病患者さんは、一般での就労ではないでしょうか?

そこで「オープンかクローズか」「どこまで開示するか」「平日の診察や急な入院は」等の課題が出てきます。

企業側も当然のように健康な方が来るものと思いますので、その中で難病患者就職サポーター等の制度やサポートがあったとしても、企業側に難病に対する意識が無い状況では、この数十年語りつくされた課題の解決には至らないと思います。

 

難病患者の就労の最大の課題は「企業が難病患者を意識し目を向けること」で、ここが変わらない限り課題の解決は永遠のテーマとなってしまうのではないでしょうか。

就労においてのスキルアップは、病気の有無関係なく必要であり、パソコンが生活に根付いた現在テレワークなどの働き方改革は当然の流れと感じます。

患者が働きやすい環境や配慮を述べることは当然大事であって、否定をしているわけではありませんが、難病患者の就労の課題の根本が何なのかをしっかりと見据えて議論をしないと、意見交換会に終始するのではないでしょうか。

 

具体的には、今年1月に東京都知事が発表した「都のがん患者難病患者の就労支援案」は、企業が難病に目を向ける一案ではないかと思います。

当然行政の財政状況で実行が出来ない事も多いと思いますが、他にも企業の視点を変える方策は多く存在するのではないかと思います。

難病患者を雇った企業に対して市が表彰をすると言う所もあったかと思いますし、何より隣県の佐賀では任意団体の「難病サポーターズクラブ」が企業訪問を行いアピールするという草の根運動で大きく環境が変わりました。

 

企業が難病患者に目を向けて、初めて理解に向けての全てが動き出し、法律や制度に魂が入るのではと感じます。

難病患者の持つ可能性に気が付けば、在宅や時短なども自然の中で議論され、もしかしたら患者のためにシステムの変化までつながるかもしれません。

病気や配慮を伝える患者の技術向上やスキルアップの機会の提供、医療者との連携や各種サービスの利活用なども当然必要となって充実していくと思います。

 

至極理想論と分かっていますが、政令指定都市であり多くの企業や工場が立ち並ぶ北九州市であれば、取り組み次第では実現の可能性は他の地域よりは大きく、模範となるのではないでしょうか。

 

この一番とも言うべき課題の置き去りの議論は、何度も書きますが難病患者の就労の課題は意見交換のみで終わるのではないかと思います。

 

「枠」がある障がい者や、誰もが至る「高齢者」であっても多くの課題が存在する中、枠も無く至ることも少ない難病に企業の意識が向かないのは当然で、北九州だからできる解決策が今後出てくるのか、大きな期待をしています。

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コメント: 1
  • #1

    安徳希 (木曜日, 30 3月 2017 20:58)

    4件の相談ってのは少ないですね?
    難病窓口に相談にいったのはどれくらいでしょうか?
    私が7月に担当者にあった時には私が最初の就労相談とおっしゃってました。
    難病患者は孤立するので自分で工夫してきたことなどでなんとかなっている人もいるのかもしれませんが、どうにもならなくて生活保護などかもしれませんね?
    北九州市は生活保護受給者がおおいでしょうし。
    障害児・者アンケートも難病者28年3月で7908名に対して200名では 就労含めた実態把握はさらに難しいとおもいます。